channel0053: 第6回「畑を耕し地蔵を彫る、73歳はるとさんと語るあの日この日」




4月2日土曜日から2週間に渡って開催してきた企画展「木彫りの地蔵展 はるとはるとさん」は、連日多くの方に足を運んでいただき、盛況のうちに幕を閉じました。当初こじんまりと静かな開催を予想していたこの企画。松本経済新聞での掲載を皮切りに、信濃毎日新聞に折り込まれるタウン情報、中日新聞とさまざまなメディアに取り上げられて、毎日10人以上、多い日には20人を超える来客が殺到する催しとなりました。ふだん1日多くても2〜3組が訪ねてくるだけのブックパッカーのアンテナサイトにとっては、異例の2週間でした。

最終日、木彫り地蔵の作者である渡辺治登さんを招いて、ゆるりとトークイベントを開催しました。中学生の頃からの同級生や教師時代の同僚、同級生の孫、そして20代30代の若者たちとともに語る渡辺さん。恥ずかしがりながらも、来場者とのやりとりのなかからいくつかのエピソードを語りはじめるその様子を、ぼくはとても愛しく感じます。ある町のさらにローカルな地域で、世代や価値観のちがいをそのままに、耳を傾けたり、冗談を交わしたりできる。そのことに、ぼくはまた豊かさも覚えました。予定調和的なワークショップや誰かの言葉をすべての解答に仕立て上げる講演会よりも、そんな些細なやりとりを一緒に営めることのほうに、ぼくは未来を垣間見ました。

当日の様子は、Ustreamでもライブ配信。もちろん、アーカイブを残しています。声というのは「生モノ」です。録画されてはいますが、できるだけまだ日の浅いうちにご覧いただけたら嬉しいです。そしてしばらくしてまた観て、聞いてみる。渡辺さんがぼくらの前で語ってくれた、そこにいてくれたこの時間を、皆さんの人生にもひとつの栄養素として、取り込んでもらえたなら幸いです。


Ustream[channel0053]Vol.06
畑を耕し地蔵を彫る、73歳はるとさんと語るあの日この日



さっき卒業したばかりの元大学生に聞く“これまで”と“いま”と“これから”の話




昨日25日の夜、標高700メートルの里山からお届けするUstream[channel0053]の第5回を配信しました。出演してくれたのは、夏頃からブックパッカーのアンテナサイトを利用してくれていた信州大学4年生の坂野篤志くん。出演してくれたまさにこの日、彼は卒業を迎えたのです。そして卒業式を終えてまっすぐアンテナサイトへ。ひとつの大きな節目の真っただ中に立ったいま、彼の目に映る世界をぐるり一回り、語ってもらいました。

京都で生まれ育ち、大学生活を松本で送り、そして来春から横浜で暮らし、仕事をはじめる坂野くん。ぼくが彼と初めて出会ったときに強く印象に残っているのは「いつか松本に戻ってきたいと思っているんです」と言っていたこと。町の風情も文化も歴史も豊かなイメージの京都で生まれ育った青年がそれでも松本を推す、その感性はどこにあるんだろうと気になったのです。トークのなかでも松本という土地の琴線について触れてくれています。外地からやってきた人たちにとっての「松本の魅力」は何なのだろうと気になる方はぜひ。

ぼくが感じる坂野くんの魅力は、“聞いて、話して、聞いて、話して”の営みが滞りなく心地いいこと。今回のトークで、大学生活・松本での4年間を振り返るなかで、幼い頃から参加していた英語教室の活動についても話してくれました。0歳児から大学生までが縦割りのグループを作って遊んだり交流キャンプへ出かけたりする。そのなかで子どもたちがまっすぐに感じてまっすぐに反応する、言葉にする、表情を浮かべるさまに触れて、これが大事なんだ、こうあっていいんだ、と感じたのだそう。ジェネレーションギャップを超えてコミュニケーションをする場に居続けたこと。思いのままにアウトプットすることの生命感に気づいていたこと。それが坂野くんの“話していて心地いい”と感じる根拠なのかもしれません。

大学4年間とその前後について、立ち止まり、振り返ってくれた1時間半。長いけれど、観てもらえたら嬉しいです。話しながら、振り返りながら、ふと思い出して、また話して、考えたりして、尋ねてみて、また話す。学生時代に多くのひとたちが経験していた、一見すると無駄に感じる、しかし実はとても豊かなそんな時間のことを思い出せるのではないかと思います。ぜひご覧ください。


Ustream [channel0053] Vol.05
さっき卒業したばかりの元大学生に聞く“これまで”と“いま”と“これから”の話



<今後の予定>

第6回|4月10日(日)夜 「被災地のこと、たっちゃんから聞きたい」
東日本大震災の直後、現地にボランティア入りした友人たっちゃんから
ぼくが聞きたい被災地のことを尋ねたり、彼の話したい被災地のことを聞いたりします。

第7回|4月16日(土)午後2時〜 「木彫り地蔵の渡辺さんと土間でスロートーク」
4月2日からアンテナサイトで開催する「木彫りの地蔵展」にあわせて、
地蔵の制作者でぼくの大好きな渡辺治登さんの、パワー溢れる人生武勇伝を伺います。

Ustream[channel0053] 明日配信、そして3月4月の放送予定





長野県松本市にある「ブックパッカーのアンテナサイト」から毎回お届けしているUstream「channel0053」。2月4日に第4回を配信して以来、しばらく間が空いていましたが、3月は明日、そして4月にも2本の配信を予定しています。

明日、3月25日金曜日に配信する第5回には、アンテナサイトの常連で信大生の坂野くんが出演します。坂野くん、実はこの日の昼に、卒業式。そう、大学を卒業したその日の夜に出演してくれるのです。京都で育ち、松本で大学4年間を過ごし、そして来春から横浜へ。そんな切り口だけを決めて、語ります。彼の口からどんな言葉が語られるのか。久しぶりのUstreamをぼくも楽しみにしています。

4月は、第1週もしくは2週の日曜日あたりに、第6回目のUstreamを配信予定。3月11日の東日本大震災で、その後すぐにボランティアとして現地入りした友人に話を聞きます。テレビでのマスコミ報道やTwitter・facebookなどのソーシャルメディアから情報を手に入れることもできるけれど、「不安を煽ることを避けて」という便利な理由で後出しされる心理的に信頼性を欠く情報や、ときに感傷的で真否が不確かなつぶやきではなく、実際に現地に足を運んだ、長年付き合いのある友人からの話を聞きたい。そんなぼくの逡巡から、この配信をいま計画しています。

そしてもうひとつは、4月16日土曜日午後2時から。先にお知らせした「ほんの行事 第2回 はるとはるとさん(木彫りの地蔵展)」の最終日、木彫りの地蔵を創っている渡辺治登さんとのお話会の様子を、リアルタイムで配信できることが決定しました。当日会場に来られないけれど興味大ありの方は、こちらでぜひその様子を覗き見してもらえたらと思います。


cf. 詩人ウチダゴウのUstream(ブログ内)


channel0053: 第4回「お茶屋の娘が語る写真と“わたしめぐり”の話」



2月4日金曜日、第4回目のUstream「channel0053」を配信しました。

第2回・第3回と配信するたびに、視聴者数が増えていることに、配信主が一番驚いています。だってここは長野県松本市。しかも賑やかな市街地から東へ車で10分ほど走ったところにある、里山辺という地域。そんな小さな集落から配信している小さなメディアを見てくれるとは。Ustream、Twitter、facebook。連動するソーシャルメディアらの力を改めて感じます。

第4回に出演してくれたのは、松本駅からほど近いエリアにある茶屋「茶屋の堤治」の娘さん・鏑木瑞恵さん。実家の茶屋をご両親やスタッフの方々と一緒に切り盛りしながら、4〜5年前からライフワークで写真を撮っています。今回、過去の作品をいくつか紹介していただきながら、写真を撮るに至った経緯に始まり、幼少期から現在までの「わたし」に起こったさまざまな出来事とそのときそのときの心の流れを語ってくれました。

鏑木さんは、有名な写真家ではありません。ふだんは茶屋で働く、ごく「一般」人。でも、彼女の語ってくれた話は、有名無名、本業なのか趣味なのかなどを問題にしない、耳を傾ける価値のあるストーリーでした。彼女と話した1時間半、ぼくは彼女がこの時間にもってきてくれた素直さをずっと感じ取っていました。いま語れる自分のすべてを全身全霊で話そうとするその姿勢が素敵でした。

skmtsのおひねりグッズが届く。






2011年1月9日。
ソーシャルメディアを通じて世界中が坂本龍一の韓国ピアノソロに聴き入った日。

2011年2月1日。
ボランティアで働いた裏方たちへの恩返し「おひねりグッズ」が届いた日。



ソーシャルメディア・ディバイド考



ソーシャルメディア
誰もが参加できるスケーラブル(拡大縮小可能な)な情報発信技術を用いて、
社会的インタラクション(相互作用)を通じて広がっていくように設計されたメディア

ディバイド
情報格差。主に、情報技術(IT)を使いこなせる者とそうでない者とのあいだに生じる格差のこと。

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1.ソーシャルメディアというツールを使う

ブログやmixiが盛り上がったと思ったら、時代はスルスルとさらに先へと流れて、今ではTwitterやFacebook、Ustreamがその本流となっている。情報技術がこれからもさらに進んでいくのだろうし、その技術から生まれる数々のツールとの付き合い方や意味合いも、ますます多様に、かつ深くなっていくのだろうと感じる。

ぼくがソーシャルメディアを使いはじめたのは、2010年。比較的、遅い。以前から周囲で「やらない?」と声をかけられたり、メールで招待状をもらったりしていて、そのたびにずっと留保してきた。留保した理由は「必要性のポイントが呑み込めなかったこと」と「当時の生活のなかにソーシャルメディアを組み込んでいく余裕がなかったこと」だったと、振り返る。ファストな世の中から生まれたさまざまな障壁に触れることが、世代的にも、また仕事でも多く、スロウという価値観の咀嚼にエネルギーを費やしていたので、そこにファストのシンボルのようなこれらのツールを取り入れていくのは、「さらにもう一考せねば」と思ってしまう、そんな対象だった。

そのぼくが、これらのメディアを使うようになったきっかけは、何だったか。Twitterは、環境NGO「虔十の会」の坂田昌子さんのひと言「ゴーサンがやってるイメージはないねー!」が事の発端だった。イメージを転覆させることはとても愉快なことだと、ぼくはいつも思う。このときも、そのスイッチがつい入ってしまった。その翌日、ぼくはTwitterデビューをし、たぶん今では坂田さんより使用頻度も高く、また、使いこなしている。Ustreamは、11月下旬に我が家に宿泊していた夫婦(伊藤菜衣子池田英紀)の影響。宿泊初日の夜、アンテナサイトの土間でUstreamを配信している彼らの景色を見ていて、直感的に「面白そう」と思ったから。メディアという言葉から連想される「大袈裟さ」がなく、パソコンやカメラ、音声マイクなどの多くの器材は使えど、やっていることは「話すことのみ」という、意外な平易さが、距離感を縮めた。写真家とウェブディレクターである彼らは、その後、2011年1月9日の夜、「ソーシャルメディアの夜明け」と呼ばれた「skmts Social project」の裏方として、活躍した。


2.「人がいる」ソーシャルメディアの可能性

ソーシャルメディアと「人」との関係性に、ぼくは可能性を感じている。

いま現在、ぼくのTwitterページの状況は、こんなだ。まず、ぼくは3つのアカウントを使っている。ぼく自身のアカウントが「@uchidago」。ブックパッカーの開催情報やアンテナサイトの営業情報をお伝えするための「@bookpackerradio」。一昨年からディレクションをしている八王子古本まつりのアカウント「@hachiojibookfes」。そして、この半年で、2000弱のツイート(他で言うところの「コメント」のようなもの)。ぼくがフォローする人の数が275人、ぼくをフォローしている人の数が316人だ。ぼくがフォローするのは、友人、知人、ブックパッカーのお客、広告・創作などの仕事に関連する情報をつぶやいてくれそうな人(会ったことのない人も含む)など。基本的に、知らない人からのリツイート(コメントに対する返事、あるいは話しかけること)でも、「話しかけられたら答える」ことにしている。見知らぬ人に声をかけられて、完全に無視するのは、どうも解せないから。いっぽうで、フォローの関係になるのは、よっぽどのことがない限り、「一度は会ったことのある人」と決めていて、例外的に、「気になる言葉を残している人」や「他のメディアを通じて伝わってくる姿に興味が湧く人」もフォローする(ぼくをフォローしてくれるかどうかは問題ではない)。

こうした自分なりのローカルルールを設けながら、そのなかで、人とのコミュニケーションが硬直することはなく、縦横無尽に交わっていく。ソーシャルメディアの語彙説明にもあった「スケーラブル=拡大縮小可能な」の意味するところが、これだと思う。これまでのメディアの「拡大可能」一辺倒を省みたのか、ソーシャルメディアには「縮小可能」という選択肢が与えられている。つまり、オルタナティブ。オルタナティブな価値観を許容する社会には、同時に、「人が、自ら考え、迷い、選び、動く」という能動的な姿勢が一つのセットとして求められる。受け身的な社会のなかで育てられ、かつ享受してきたぼくらにとって、「人が、自分の主になれる可能性がある」という点において、ソーシャルメディアは価値あるツールになるかもしれない。


3.2011年1月9日 skmts Social project

2011年1月9日、音楽家の坂本龍一氏が自身のピアノライブ韓国公演をUstreamで生配信するプロジェクト「skmts Social project」が起こった。ぼくにUstreamを薦めてくれた友人夫婦がコアに関わっていたこともあって、ブックパッカーのアンテナサイトはそのパブリックビューイング会場に登録した。

このプロジェクトでは、有料公演をインターネット経由で無料ライブ中継するだけでなく、「ライブ本番以外の、準備段階や舞台裏をも共有」し、「その中継をみんなで観るパブリックビューイング会場を募」った。「これまでインターネット上で完結していたソーシャルネットワークを、現実の場で組織してみると」どうなるのか。そういう実験的プロジェクトだった。

1月9日当日、411箇所のパブリックビューイング会場と個人のパソコンを通して、16万人を越える人たちが、この実験を一緒に体験した。ぼくも会場主催者として、この日、のべ10数名の参加者とプロジェクトを体験し、とても刺激的な「共有感」を覚えた。その感覚はどこから来るのか。

ぼくの場合でいえば、「これだけ大きなメディアを前に、人が置き去りにされていないこと」がかなりのインパクトを残している。テレビや新聞などのマスメディアに対して、人は今や完全に「受け手」に回ってしまっている。それがこの夜にはなかった。音楽を奏でる音楽家と観客という構図があるいっぽうで、それがソーシャルメディアによってつながっていることで「一緒に作っている」感覚があり、言葉や写真を「ツイート」することで「実際も参加していた」。「参加すればするほど、共有できる」という感触を、多くの人は感じたのではないだろうか。これまでたびたび「参加型」をアピールするマスメディアはあったが、ぼくはこの夜、初めて「参加型」を実感したように思う。


4.ファスト&スロウの解釈

これらの体験を経た上での、ぼくのなかのファストとスロウの解釈と、ソーシャルメディアが生む新たな情報格差について、今考えられる言葉を書き残しておこうと思う。

ぼく自身は、ソーシャルメディアを、どちらかというと積極的に、使っていこうと思っている。現に、2010年12月から、ブックパッカーのアンテナサイトから「channel0053」というUstream番組を配信している。また、2011年に企画するいくつかの催しにも、ソーシャルメディアのぼくなりの活かし方を投影していきたいと練っている。

では、当初ソーシャルメディアを留保していた際の、「必要性のポイントが呑み込めなかった」と「当時の生活のなかにソーシャルメディアを組み込んでいく余裕がなかった」というポイントはどうなったのか。

その問題は、ぼくが松本に移住したことによって、大きく流れを変えていった。新たな生活をゼロから作っていくことで、一つずつ身辺を整理できたことも大きい。そして今、松本という「文化的・環境的にも豊かな資源のある」いっぽうで「それを表現しきれていない」地方都市でこそ、このソーシャルメディアは活かしようがあると感じている。「一個人」が「自ら参加」し「語る」ことのできるツールは、これまでの「地方と都会」のマップを無視することができる。地方であっても、都会であっても、それを語る誰かがいれば、すべてが始まる。「文化的・環境的にも豊かな資源のある」いっぽうで「それを表現しきれていない」ということは、言い換えれば、「まだ知られていないが、語るに値するもの」が有り余っているということだ。2010年に松本に居を構えたぼくにとっては、タイムリーなツールであることに間違いがない。

ソーシャルメディアは一見するとファストなツールであるし、使いかた次第ではファストである。ただ、先も述べた通り、この道具には、とても魅力的な特徴がある。それは「オルタナティブな選択肢が組み込まれている」ことであり、また、「人が自ら考え、迷い、選び、決める練習場になりうる」ことだ。これはスロウなあり方を呼びかけるカルチャーがもっとも重要視する「サスティナビリティ=持続可能性」を支える2要素でもある。また、これも先に述べているように、たとえばTwitterであれば、フォローやツイートの仕方などのローカルルールを自ら決めることができる。外へ外へと「拡大可能」であるいっぽうで、際限なしにならないように「縮小もできる」。これもまた、スロウカルチャーの価値観に通じるものだとぼくは解した。

デザイン関連の仕事に携わる人たちの姿勢には、学ぶことも多い。彼らは、ツールそのものを拒否しない。あくまで「使ってみて判断する」。今回、Ustreamを薦めてくれた夫婦にしろ、そこから繋がっていった「skmts Social project」にしろ、「ツールの欠点を危惧すること」と同時進行的に「これをどう使いこなすか」に注力していくその様から、ぼくが得た「次々に登場するモノコトへの態度のあり方」は大きい。


5.ソーシャルメディア・ディバイド

こうして書いていくと、このソーシャルメディアの最大の特徴が自然と浮き上がってくる。つまり、「ソーシャルメディアは自主的・能動的な人間を支援している」ということだ。そして、そこに情報格差は生まれていく。

東京から松本に拠点を移して、一年間、この街に暮らす人たちと接してきた。そのなかには「メールが苦手」「パソコンは週に何度か立ち上げるだけ」という人だけでなく、「そもそもネット環境がない」という人までいた。それは「情報技術に距離感がある」という単純な話ではないと思う。名古屋で開催された「COP10」を直前まで「コップ展」だと思っていた人もあったし、これだけ芸術を謳う街に住んでいるにもかかわらず「ギャラリーってなに?」と尋ねる人もいた。「外へ広がっていくアンテナを立てる」ことに慣れておらず、そのアクションに能動的になることにも多大なエネルギーがいる。そうした人たちが、日本全国(世界の話をするともう手に負えないので、ここでは国内に話題を限定する)に数えきれないほど多くいて、おそらくそちらのほうがマスだと思う。

「インターネット」の段階ですでに生まれている情報格差が、ソーシャルメディアの出現によってさらに広がるのではないか。ぼくも、このことをどう受け取って、その課題に対して、自分が何をするのかを考えた。

ぼくの答えはこうだ。「ソーシャルメディアを使いこなす人が、まだそうでない人に紹介してあげればいい」。ひどく単純だが、重要なのは、それをチャーミングな手法でやらなければならないということだ。「知っていることの優位性」をもってして伝えても、おそらく、その人がソーシャルメディアに参加してくることはない。「知らなかった頃の自分」に戻って未体験者に接していくこと、一緒に付き添って参加してあげること、重要性や価値よりも心地よさや楽しさを共有すること。それらを念頭に、声をかけてあげることだと、ぼくは思う。それができるのは、たぶん、膨れ上がった社会問題を抱える現代を10〜20代で体験した、今の20〜30代のような気がする。異なる見解をどのように変換してあちら側へ受け取ってもらうのかを、この世代のある層の人たちは、この5〜10年、じっくり考えてきたから。

先日の「skmts Social project」には、そのヒントがふんだんに盛り込まれていた。準備段階や舞台裏の公開、Ustreamならではの映像カット、素人性、参加型、共有・・・・。ソーシャルメディアを楽しんでいる人が、その魅力を、チャーミングな手法によって、まだ使っていない人に対して、どれだけ手にとりやすいものに変換してゆけるかどうか。そこに、ソーシャルメディア・ディバイドの行く末がかかっている。ぼくはひとまず、そのコツを自身のUstream「channel0053」で表現していこうと思っている。



詩人ウチダゴウが語る Small Talk TV
Ustream「channel0053」


channel0053: 第3回「環境NGO虔十の会坂田昌子さんと語る自然と気分の話」



2010年12月にしてきなしごとで始めたUstream「channel0053」。28日に配信した第2回には、松本市からほど近い朝日村にある自家焙煎珈琲店「カフェシュトラッセ」のマスターが出演。コーヒー講座とその哲学を話してくれました。ネット上にあがっているアーカイブはおかげさまでじわじわと視聴者数が増えています。

そして、2011年1月7日、第3回を生放送しました。ゲストは、高尾山でツリーハウスを通して山と森の心地よさや楽しさを伝える活動を続けている環境NGO「虔十の会」代表の坂田昌子さん。ぼくと坂田さんとの出会いは5年前。ちょうどツリーハウスが完成した年に高尾山を訪ね、意気投合。NGOの広告制作に始まり、昨年からは「八王子古本まつり」も一緒に作っています。

1時間半のトーク。高尾山の自然の豊かさについて話しながら、原風景のこと、都市とローカルのこと、心地よさのこと、気分のことなど、ぼくらが日々生きる上での本質を探るようなテーマも出てきました。ちょっと長いけれど、ぜひ全編ご覧いただきたいです。

この日はもう一人、ブックパッカーのアンテナサイトのお客さんで、生まれも育ちも松本の青年・前田一樹くんも一緒に出演しました。「channel0053」はこれから、有名無名にかかわらず、むしろ「何でもない人」のほうにやや注目して、松本の「何でもないごく普通の人」を紹介したいと思っています。みんなの実感を、標高700メートルの里山から配信する。一年を通して続けていったとき、きっと楽しいプロジェクトになっている気がします。一緒に付き合ってもらえたら嬉しいです。

skmtSocial project : 1月9日 パブリックビューイング会場の一夜



昨日1月9日、坂本龍一の韓国ピアノライブ「Playing Piano from Soul」が開催されました。今回、ライブ全編がUstreamで生放送で配信。その放送をみんなで観ようというプロジェクト「skmtSocial project」が、12月からスタート。1ヶ月間、みんなで放送を観る会場=パブリックビューイング会場を募っていました。そして、「ブックパッカーのアンテナサイト」も、その会場に手を挙げました。

昨晩、アンテナサイトには、昨年アンテナサイトに遊びに来てくれたお客さんのほか、このパブリックビューイングを楽しみたいと初めて足を運んでくださった方も。初対面の人もそうでない人も、一人の音楽家とその仲間たちが動かしていったソーシャルメディア開幕の一夜を一緒に体験しました。

ソーシャルメディアのことは、改めて書きたいと思います。「ディバイト=情報格差」のことも合わせて、ちょっと頭のなかで整理したいので。

channel0053: 第2回「朝日村のマスターが語る珈琲と豊かさ」



唐突だけれど、12月からUSTREAMを配信しています。名前は「channel0053」。今年一年切り盛りしてきたブックパッカーのアンテナサイトから“小さな話”をお届けする番組。

28日に生放送した第2回目には、松本市から車で40分のところにある朝日村の自家焙煎珈琲店「カフェ・シュトラッセ」のマスター児玉理さんが一緒に話してくれました。マスターは、東京浅草の珈琲店「カフェ・バッハ」で修行。スペシャリティとしての珈琲でなく、一般のひとが生活のなかで楽しめる珈琲を、お店に通うぼくらに教えてくれています。録画もしてあるから、ぜひ観てみてください。

来年は、このソーシャルメディアを、定期的に配信してゆきます。ぼくがひとりでお話するときもあるだろうし、だれかと一緒に画面に登場するときもあると思います。できるだけ、信州に暮らすひとを、しかも著名・有名なひとでなく、ごく普通に暮らしているひとの小さな言葉や話をお届けしたいです。乞うご期待。


skmtSocial project : 坂本龍一 ロングインタビュー 第5回



来年以降の働きを考える上で、繰り返し観たいと思ったので、ブログに全5回の映像をあげておく。

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