サンティアゴ・パハーレスの処女長編作

サンティアーゴ パハーレス
ヴィレッジブックス

最初にページを開いたのは、3日前。一昨日大半を読んで、昨日の夜後半部分の半分を読んで、今朝家事を放って、フィナーレを読んだ。本を読み慣れたひとにとっては満足感を感じるボリューム、何度も繰り返されるウェーブに酔いつつ楽しいアトラクションのような展開、「主人公が探し求める人間は誰なのか」を推理する熱中度。そして、この物語がスペインから届いたストーリーで、当時若干25歳の青年が書いた大作であることが、よりこの本を読む楽しさを膨らませてくれた。

ぼくのなかで一番欲しているストーリーは、こうした「人」にまつわる物語ではなく、それを意識しない「人も、人でないものも」を語る物語なのだけれど、時折、というか、定期的に、無意識に、ごく自然に、《こちら》の本を手にとる。この『螺旋』も、いい緩衝剤になってくれた。とはいえ、それだけのために読んだわけじゃない。ぼくが嫌いなのは、読んでいて「もうこの手の本はいいよ」と思わされることだけれど、この一冊はそう感じる隙すらなかった。主人公ダビッドと村の女性アンヘラとの距離が次第に近くなっていく各シーンはセクシャルな香りがして楽しいし、悲しみを抱えながら「生きる」ことに注力するエステーバンは、その顔や背丈、立ち居振る舞いをつい想像したくなるほど興味深い。3日間この本と一緒に楽しく過ごせた、という幸せな思いが残っている。それで十分。

スペイン人には幾度か会ったことがあるが、スペインにはまだ行ったことがない。どんな国だろう。スペインというと、ぼくは「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」をすぐに思い浮かべてしまう。一度、全行程を歩いてみたい。それまでに、もう2〜3、良質なスペインの文学作品に出会っておきたい。そんな気にもなった、一冊。

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