ようこそセンパイ? 母校で詩の授業

15日金曜日、小学3年生から4年間通った母校で、詩の授業を開催しました。かねてから知り合いだった先生が、2007年度にぼくの母校に赴任。夏頃、詩の授業でもやりませんかと声をかけたら、あれよあれよという間に、実現にいたりました。当時一学年2クラスしかなかった母校は、今や一学年6クラス。もちろん当時いた先生も一人もおらず、校舎も大きくなっていました。
今回のクラスは、4年生。みんな、9歳とか10歳とか。自己紹介で卒業アルバムを出しながら話をしていたら、ある子が「まだ生まれてない・・・・」と。ぼくがこの小学校を卒業したのは、13年前だったのです。
<お題>
1 【自己紹介】詩人の仕事、大公開!
2 【準備運動】「聴く」を楽しむ準備運動
3 【詩の創作】「自分の仕事」ってなんだろう?
彼らと何を話そうか、と四六時中思案して、ふと、「自分の仕事」をテーマにしてみるかと思いつきました。職業としての仕事ではなく、「自分がいまここいることで果たせる仕事」についてをみんなと考えてみたい。肩書きや所属をもってこそ価値が生まれるんじゃなくて、いまここに自分が居たいようにいるだけでもうとっても尊いんだということを、いっしょに確かめたい。そんな思いがありました。
仕事にはね、「職業」のほかに、もっとシンプルな意味があるんだよ。それはね、「すること」「してること」なんだ。4年生30人、みんな、ぽかーん。しかもね、「すること」「してること」はそのまま、誰かに役に立ったり、何かのためになっていたりするんだよ。またまたみんな、ぽっかーん。
まずは普段ひとりひとりが「すること」「してること」をリストアップ。「息をする」「ごはんを食べる」「だらーんと寝る」「犬の散歩をする」「野球をする」「きょうだいとケンカする」などなど。次に、リストアップしたそれぞれについて、何の役に立っているか、何のためになっているかを考えてみる。ここでみんな、表情が真剣。わからない、え、なんだろう、えー。ひとりひとり机を回って、話しているうちに、あ、なるほど、の顔に変わってゆきました。最後に、役立ち方がわかった「してること」を、詩にしたためてもらいました。
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ぼく、弟とケンカした。
次の日妹とケンカした。
その日に、弟と妹が「ごめんね。」と言ってきた。
ぼくは、「いいよ。」と言った。
きっときょうだいの仲がグッと広がったと思う。
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お題、少し難しかったかもしれませんね。でも、もっとひとりひとりと話ができれば、彼らの「してること」を深く深く掘っていけたなあと思います。その時間が足りなかった。あるいはそのしかけが足りなかった。もう一歩が突き詰められなかった、そんな気がします。また、どことなく、受験勉強の影を感じてしまいました。正解を求める。模範解答を探そうとする。発想がすぐに行き詰まる。あの子たちをもっと自由にさせてあげられなかったのが、とても悔しく思います。
「深さ」の授業をやりたい。90分の限られた時間で、どうやったらそれが果たせるんだろう。小学生や中学生との詩の授業をもっともっと経験したいと、改めて思った今回でした。うーん、また会おう、みんな。それまで元気でね!
- 2008.02.16 Saturday
- 詩の授業
- 19:57
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- by ウチダゴウ
正解のない問題、テーマを考えるというのはとても重要ですよね。
人をこっちに引きずり込むテクニックを養うのもここから始まる様な気がします。
この路線、素晴らしいですよ、本当に。